万能湿布

万能湿布という物ができた。体のどこかに貼るだけで全身の凝り、冷えなどを癒やしてくれるのである。
使用有効期間も一ヶ月と長持ちだし、医者に行く手間も時間も節約できると喜ぶ人が多かった。特にスポーツ選手や高齢者、体の弱い人などに重宝された。
しかしある男が妻に暴力を振るった。その途端、湿布が燃えるように熱くなり男は大やけどをした。
製品の欠陥ではなく、人道から外れた悪いことをした場合、罰を与える機能もあるらしい。やり過ぎではないかとの声もあったが、いやこの男の自業自得だろうとあまり製品を批判したり、男を擁護する声は出なかった。
しかし敵もさるもので、湿布を剥がしてから暴力を振るう者も出てきた。
防止策として、スポーツ以外で暴力を振るった者には全身が痛くなる湿布を、一ヶ月間貼ることを義務づけた。それによって暴力を振るう者の数は、かなり減った。
医療費も減るようになり、家計の助けにもなった。