２８歳の俺がタイムリープした先は６４歳ジジイの俺でした。

どこで人生を間違ったのだろう？俺は今、不幸のどん底にいる。
歌手になるとギター担いで上京した１８歳。しかし一向に芽は出ず最近ではライブハウスから門前払いを食らう始末。
ネットに音楽を上げれば嘲笑の的。アンチばかりで味方は一人もいない。
音楽なんてやらなきゃ良かった…ギターを置き、呆然と過ごす日々が続く。

気が付けば俺は歳を取っていた。６４歳。まだギターを抱えている。
ピックを手にゆっくりとギターを弾く。２８歳の俺とは違う音色に人々は耳を傾ける。
若い頃のような声は出せない。だが６４歳の俺に合った声で思いを伝える。
演奏が終わると俺は喝采を浴びていた。

時が戻る。
…今のは一体何だったのだろう？夢？幻？俺は未来の自分へと憑依していた。
未来の出来事が、俺の心に火を点けた。
やっぱり音楽を続けよう。６４歳の俺は１８歳の俺が憧れた姿だった。
未来を見て、道半ばで諦めるわけにはいかなくなった。