襟巻き

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秋晴れが続いていたので、少し郊外の景色が見たくなり車で出かけてみた。
山並みが見えてきた時だ、急に首にしていた襟巻きが私の首を締め付け息苦しくなった。
慌てて車を停め外へ出て、襟巻きをとり清々しい空気を思い切り何度も何度も吸っていた。

本当に来て良かったなァと思いながら、家に帰って来ると襟巻きが失くなっているのに気が付いた。
まあ長い間お世話になったし、古くなっていたからなァと早々と諦めてしまった。
数日後、家に小包が届いた。前に使っていたのがグーンと若返った様な襟巻きと、木の葉に黒ぐろと書かれた
手紙が一通入っていた。
貴方のお陰で、年老いた私は故郷に再び戻れました。私の話を聞いた若者が、是非街に行きたいと言ったので
一緒に同封しますから宜しくと書かれていた。
それを読み自分もとっても嬉しくなり、早速明日にでも若い襟巻きに街を案内してやろうと思った。
ファンタジー
公開:22/11/08 21:17

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