出店

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田舎を走っていると、栗や柿が実った所に出店があった。少し離れた空き地に車を停めて、休憩しながら店を眺めていた。
店には秋の味覚の松茸・栗・柿等の山の幸が並べられている。
店には売子は誰もおらづ、信楽焼の狸が前に置いてある。彼が店番かも知れぬが、あれでは役に立つとは思えない。
特に高価な松茸はヤバイのでは無いかと、他人事ながら気にもなる。
青年が車を停め店に近づくと、あの狸が突然、若いお姉さんに姿を変え、あーら、いらっしゃいと甘い声を掛けると、青年は栗と柿を買い嬉しそうだ。
安いんだな~と言うと、全部私の山の物だからと笑って答えた。
暫くして今度は美人がスポーツカーを降り店へ来た。狸像は突如ハンサム男に変身し、美しい女性には五割引ですと言うと、山積みの松茸が一挙に売れた。
美人が随分安いのね~と言いながら去った。
男は元の信楽焼狸に戻り、明日は山で松茸と栗と柿を一杯盗って来なければと思った。
ファンタジー
公開:22/11/12 02:10

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