立方体の思い出

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「はじめまして、円山立です」
小6の頃、クラスに立方体が転校してきた。
頭が立方体の男子だ。
「変なの」
ひそひそ話の一言に、立はすぐ反応した。
「変ですか、僕?そうこれ辺なんです」
教室中が大爆笑。
「面くらいますよね。あ、これが面です」
爆笑、再び。
その対応のプロのようだ。
「じゃあ、立くんは直くんの隣ね」
「よろしくね」
無表情な立の顔からは、その気持ちを読みとることはできない。
本当は、あんな冗談を言いたくなかったはずだ。
「ねぇ、立くん」
「なんだい?直くん」
「立方体なのに円山って、クールだね」
「てめぇ、角で頭突きすんぞ」
気がつけば、立とは親友になっていた。
一年後、立はまた転校し、それっきり。
「その立方体の中って何があるの?」
「見取図どおりさ」
「嘘だ」
「何が入ってるかは展開してのお楽しみさ。人生と一緒だよ」
当時は意味不明だったが、今になって少しわかる気がする。
青春
公開:22/11/11 23:27
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