織姫と彦星の会話

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織姫と彦星は手話で会話をしていた。遠方からでも分かるからである。ドラマだと感動の名シーンとなるのかもしれないが、当たり前のシーンである。何故なら宇宙には、音が無いからだ。
地球に居た時は音声言語を主に使う習慣だったが、宇宙に来て手話を身につけた。
地球にいた時はそんなに意識していなかったが複数の言語があるというのも、厄介なところであった。人同士が分かり合えるのに、時間を要し齟齬をきたすことも多い。彼らのよく知っている他の星では、そんな非効率なことはしていなかった。
それにしても地球人は何故私たちのことを、悲劇の二人みたいに言うのかね。地球人の寿命は短く、宇宙の寿命はこんなに永いのに。
離れていても手話で自由に会話できるから支障はないけど近くで見るとより素敵だね、綺麗だねとお互いにのろけ合った。
他にも地球人が見るだけでもためになることを、いろいろ話し合っていたが人に分かる筈もなかった。
ファンタジー
公開:22/11/05 22:14

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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