鈍感力

鈍感力という科目が、必修科目となった。日本人は繊細過ぎて伸び悩んだり、精神を病んだりする人も多い。それを鈍感力を身につけて防ごうというのである。
鈍感といえば聞こえは悪いが、打たれ強さたくましさにも通じるものがある。国際的にも通用する人材を増やそうとなった
その目論見は当たった。あまり人のことを気にしない、マイペースで我の強い人が増えた。ライバル国に打ち勝つことも多くなった。
日本の良き風習や謙譲の美徳などが薄れてきたと嘆く声もあったが、いやこれくらいでないと国際化時代に生き残れないよと考える人の方が多かった。
しかし世界に通用していた芸術、物づくりは衰退していった。まあそんなことどうだっていいじゃんと、新たな金儲けの道をみんな模索し進み始めた。
鈍感力を学び始める前から、日本の技術力やサービスなどの分野が落ちてきていると悪評だったのに、これから先はどうなるのかとみんな考えなくなった。