神聖な図書館

神聖な図書館があった。普段あまり本を読まないような人でも、その図書館に行くと夢中で読み始めた。
病人や体の不自由な人も、図書館の本を読み始めるようになった。その図書館の本を手に取ると、体の痛みを忘れて貪るように読みふけってしまうのであった。医者に掛かるより無料で体の痛みを忘れることができるから、ありがたかった。
しかし図書館から出ると、また体の痛みがぶり返してしまうため本を借りてみんな家でも読んだ。家で読んでも体の痛みを忘れることができた。
だが奇妙な現象も起きてきた。固い真面目な本ばかり読んでいたような人が、急に児童書を読み始めたりスキャンダラスな週刊誌を読むようになった。
病院で検査を受けたら、末期の助からない病に侵されていた。脳も侵されていたため、幼児返りをしたらしい。
しかしそういう人も今更治療を受ける気はなかった。好きな本を読みながら亡くなっていけるのだから幸せとも言えた。