犬のお巡りさん

私は犬の保護活動をしている。と、言っても私が保護しているのは狛犬だ。
狛犬は二体一対が基本。どちらか一方が壊れると、もう片方も処分される運命にある。
私はそんな処分予定の狛犬を保護しては、お巡りさんになれるよう訓練をしている。
昨今、どこの神社も賽銭泥棒に悩まされているだろう？賽銭箱の番犬に狛犬は最適なんだ。
神社だから、どこに狛犬がいてもおかしくないだろう？狛犬なら給料を払う必要も、餌を与える必要もない。
時々その体を拭いて、拝むだけで狛犬はお巡りさんとしての職務を全うしてくれる。
石の体は鈍重ではないかって？試してみるかい？ただし捕まった時、その重さで押し潰されて怪我をしても責任は持てないよ。

元々は独身の狛犬に新たなパートナーを見つけようと始めた保護活動だが、狛犬は見ての通りの石頭。
狛犬は最初の相手としか番にならない。
石のように固い意志は、まさにお巡りさんにうってつけなんだ。