告白雨雲2
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僕の頭上に現れる雲に気づいたのは10歳のホワイトデーだ。
バレンタインデーに好きな女子からチョコレートをもらった僕は、放課後、その子と公園で待ち合わせた。お菓子を持った僕が胸を高鳴らせて待っていると、空に灰色の雲が広がってきた。彼女が来た時、僕のいる所だけ雨が降った。雨が上がってから、服の中にいれて守ったお菓子を出し、「僕も好きだ」と伝えると、彼女は目を丸くして、「義理チョコなのに」と言った。
その後も、雲は僕が告白する状況になるたび、頭上に現れて吉凶を事前に教えてくれた。
30歳になった僕は、今日、彼女にプロポーズする。まだ雲は現れていない。公園のベンチに彼女と並んで座る。ポケットから指輪が入った箱を取り出したとき、僕の手に水滴があたった。
あー、振られるのか。
でもそれ以上、雫は落ちてこない。僕は彼女に指輪を見せた。
口元を両手で覆った彼女の目から雫が一粒落ちたのを見た。
バレンタインデーに好きな女子からチョコレートをもらった僕は、放課後、その子と公園で待ち合わせた。お菓子を持った僕が胸を高鳴らせて待っていると、空に灰色の雲が広がってきた。彼女が来た時、僕のいる所だけ雨が降った。雨が上がってから、服の中にいれて守ったお菓子を出し、「僕も好きだ」と伝えると、彼女は目を丸くして、「義理チョコなのに」と言った。
その後も、雲は僕が告白する状況になるたび、頭上に現れて吉凶を事前に教えてくれた。
30歳になった僕は、今日、彼女にプロポーズする。まだ雲は現れていない。公園のベンチに彼女と並んで座る。ポケットから指輪が入った箱を取り出したとき、僕の手に水滴があたった。
あー、振られるのか。
でもそれ以上、雫は落ちてこない。僕は彼女に指輪を見せた。
口元を両手で覆った彼女の目から雫が一粒落ちたのを見た。
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公開:22/10/31 19:17
2021年3月に小説を初めて完成させました。いろいろなジャンルのショートショートを書いていきたいと思います。
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