チックタック

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入院している子供の遊び道具は、時計だった。時計の針が動くのを見てチックタックと音がするのを楽しんでいた。
「もうすぐ誕生日だね。何が欲しい?」
「時計」
本当に時計が好きな子だ。だから色々なところを探し回って手に入れたのは、針がアヒルの形をしていて、秒針が動くたびにグワッ、グワッと音が鳴る置時計だ。
「あはは。面白い」
子供は喜んだ。不思議な子だ。時計の針が動くのが好きだなんて。ある日の事だった。子供の容体が急変した。緊急手術が行われ、なんとか一命をとりとめた。
「お母さん。僕ね、時計の針を見ていると思うんだ。生きてるって」
その言葉を聞いて、母は涙を流した。だってもうこの子は、余命僅かだとついさっき宣告されたばかりなのだから。
「だからね、時計が好き。将来は時計職人になりたいって母に言ったのが、時計職人になった理由ですかね」
絶対生きるてやるんだと時計の針を見続けて今があります。
公開:22/11/04 10:32

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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