隠し事

やましい事は、何もない。……と言い続けているが、実はやましいことがある。浮気しています。でもこれは、人生が終わるまで。墓場まで持っていくと決めているんです。しかし嫁は、いつも献身的に俺に尽くしてくれる。俺はどうして浮気なんてしてしまったんだろう。ごめん、本当に。ほんの出来心だったんだ。
「今日の晩御飯、何が食べたい？」
「ん？ああ、そ、そうだな。シチューが食べたい」
「分かったわ」
笑顔を向けて、いつもご飯を作ってくれる君を裏切ってしまったのは、本当に申し訳ないと思っている。そろそろ浮気も終わりにしよう。俺は決意して浮気相手に別れを告げた。もうこれからは、君だけを深く愛する事にするよ。反省した。本当に。
「どうだった？」
「えっ？」
「別れたんでしょ？」
「知っていたのか」
「そりゃね。あなた分かりやすいから」
「許してくれるのか？」
「ううん。離婚して」
君はこのタイミングを待っていた。