蝶たちの今

2
2

外を舞っていた蝶がぺたんと台紙についた。ひらひら舞うのに疲れたのだろう。私は蝶をしばらく休ませた。
私がアレンジした新たな蝶を解き放った。自分が神になったような錯覚を随時覚える。自分が創造した蝶が、外を舞うのを見るのは本当に心地がよい。
人間が起こした環境破壊により、蝶という生き物が姿を消して随分経つ。せめて別な形でかつての自然の姿を蘇らせようと、ペーパークラフトを改良して外を舞わせるようにしたのだった。
といって外に出るのは特殊防毒マスクや、防毒服を着て行かなくてはならないから面倒である。大抵はテレビやパソコンの画面越しに、映像を見て過ごす。
蝶を解き放したり家の中に入れるのだって、窓を急いで開け締めしなくてはならないから命がけである。
子どもや芸術家などが創造した他の紙の生き物も、縦横無尽に外で過ごしている。
環境破壊も悪いことばかりではないのかもしれない。
ファンタジー
公開:22/11/03 05:25

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容