独り立ち

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 「実家」が売っていた。
 電子カード売り場にあって、何も描かれていない白いカードだった。種類があり、100円、1000円、10000円の3つが並んでいた。

 私はコンビニでアイスクリームを買うついでに、100円の「実家」を買ってみた。
 すると、コンビニを出たときにメールの着信が。亡くなった母からのメールだった。『元気ですか ごはんはちゃんと食べれていますか』と書かれていた。

 ある日、店の中を無気力にうろついていると、ふと1000円の「実家」が目に入り、他に目ぼしいものがなかったので買った。次の日、家に母からの箱の荷物が届いた。母がよく買ってくれた蜜柑がたくさん詰まっていた。

 ある日、帰りのお土産を考えていると、「実家」のことを思い出し、10000円を買った。
 突然、嫁が結婚式をやってなかったからやろうと言い出した。披露宴の席には泣きながら笑っている母がいた。
ファンタジー
公開:22/10/28 11:00

好太郎

主に小説投稿サイト「即興小説トレーニング」にて執筆した自作品を、推敲したものを投稿します。
他小説サイト「小説家になろう」でも同様なことをやっています。

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