告白雨雲

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扉を開けるとずぶ濡れの女性がいた。
「一晩泊めて下さい」
なんて美しい。俺はつい家にあげてしまった。
『名前は?』
「レイ」
一晩のはずが二晩、三晩、今では同棲だ。
「私も働く」
突如部屋にこもり、作業中は中に入るなとレイはいった。
彼女は耳かきを作り、販売を始めた。
その耳かきの綿毛は、耳垢を洗い流すとポカポカと乾かし、耳に虹がかかると話題になった。
ある日、俺は作業中の部屋に入ってしまった。
そこにいたのは、人型の雨雲。自分の体をちぎって、綿毛にしていたのだ。
「私ね、昔、木にひっかかっていたところを、子供だったあなたに助けられたの」
濡れた声で雨雲は告白すると、水蒸気となり、窓の隙間から消えた。
『レイ…』

次の日の天候は奇妙だった。
局地的に雨が降っては晴れが、何百か所で観測された。
街には大小様々な虹がいくつもかかり、重なっている。
見とれていた俺の目にも、小さい虹がかかった。
ファンタジー
公開:22/10/27 22:24
更新:22/10/28 19:27
毎週ショートショートnote 告白雨雲

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

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