永遠の愛

モテる男がいた。女がひっきりなしに寄ってくるので、女に苦労したことは無かった。苦労したのはデートのスケジュール調整と、適当な所でいつ縁を切るかということくらいだった。
適当な優しさを出せば、女はいつも感激してくれた。それは本心から出たものではなく女を繋ぎ止めておくための手法だった。
しかしある女から、いきなり妊娠したと告げられた。堕ろせと言ったが聞き入れられず、やむを得ず結婚する羽目に陥った。
男はこれでおれも家庭に縛られる男になってしまったと、観念した。
しかし男の浮気性が治るはずもなく、相変わらず陰で何人もの女と遊んだ。男の色気は変わらずあったし、社会的地位を築いたことと家庭を持ったことによる包容力も備わって、モテるのはずっと同じだった。
妻には心から愛してるこの愛は永遠だよと囁けば、感激していた。
永遠の愛とか、幸福は周りの犠牲と秘密と嘘によって守られるものかもしれなかった。