関白宣言
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ダイニングテーブルに置かれたA4サイズの紙に彼の手が乗っている。
「君と結婚する前に言っておきたいことがある」
彼は紙から手を離し、向かいに座った私の方へ紙を押してきた。そこには箇条書きで何かが書かれていた。私は紙へ視線を落とした。
- 僕より早く起きろ
- 僕より遅く寝ろ
- 料理は美味しく作れ
- 僕に文句を言わない
- 俺の親を大事にしろ
彼は親の時代の亭主関白に憧れているという。そういえば、『関白宣言』という歌があったらしい。それを模したのだろうか。
携帯電話で歌詞を検索する。出てきた歌詞を読みながら、なんて男が偉そうな時代だったんだと呆れた。でも途中から印象が変わる。偉そうなことを言いながらも妻を本気で愛している歌じゃないか。
もう一度、彼が書いた文章を見返す。5行しかない。私は顔を上げて彼の目を見た。
「わかった。じゃ結婚は白紙で」
約束を交わす前に破棄だ。
「君と結婚する前に言っておきたいことがある」
彼は紙から手を離し、向かいに座った私の方へ紙を押してきた。そこには箇条書きで何かが書かれていた。私は紙へ視線を落とした。
- 僕より早く起きろ
- 僕より遅く寝ろ
- 料理は美味しく作れ
- 僕に文句を言わない
- 俺の親を大事にしろ
彼は親の時代の亭主関白に憧れているという。そういえば、『関白宣言』という歌があったらしい。それを模したのだろうか。
携帯電話で歌詞を検索する。出てきた歌詞を読みながら、なんて男が偉そうな時代だったんだと呆れた。でも途中から印象が変わる。偉そうなことを言いながらも妻を本気で愛している歌じゃないか。
もう一度、彼が書いた文章を見返す。5行しかない。私は顔を上げて彼の目を見た。
「わかった。じゃ結婚は白紙で」
約束を交わす前に破棄だ。
その他
公開:22/10/26 21:16
2021年3月に小説を初めて完成させました。いろいろなジャンルのショートショートを書いていきたいと思います。
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