霊可視化現象

霊が全世界の人に見えるようになった。これによって殺人事件の捜査も、霊が再現して証言してくれるのでほとんど不要となった。
歴史の勉強をしなくても、霊の様子を見ているだけで過去に何があったのか鮮明に分かるようになった。先住民に対して、いかに心無いひどい仕打ちをしてきたのかも解るようになった。虐殺の様子を見て気分が悪くなったり精神的におかしくなる人が続出した。
また霊の存在が増え過ぎて、邪魔だなあとみんな感じるようになった。生者との区別がつきづらい場合もあるため霊を避けようと、生者を轢いてしまうことも多かった。逆に生者が窮状を訴えているのに、霊だと勘違いされて放っておかれることも多かった。
とりあえず私は生者ですと、プラカードを腹と背中に付けて外出することを義務づけた。
除霊できる人を増やしてある程度成仏させることに成功した。だがなるべく霊となり彷徨う生き方は、お互いしないでおこうと人は誓った。