お客様は仏さまです

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「昨日駅前の居酒屋にいたろ。飲めないお前が珍しいなって」
「客を接待してたんだ」「カウンターで一人だったろ」
「俺、霊感が強くてね」「何の話?」
「副業始めてね。身体を生前飲み足りなくて死んじまった霊に憑依させて酒を飲んでもらうんだ」
「商売って支払いが無理だろ」「もち霊にお金を要求しても無理だ。その代わりのモノを支払ってもらう」
「例えば?」「本業の手伝いをしてもらうのさ。俺の場合喉から手が出るほど欲しいスキルを仏さんは持ってるからね。お互いWin-Winさ」
「何か掴めてきた」「だろ。まず憑依させてメモ用紙に書いてもらうんだ。それが希望の代物だったら後は思う存分に飲み食いしてもらう」
「完全に乗っ取られるの」「さすがにそれは怖い。言わば意識のシェアだ」
「なるほどね…お前がエース記者として最近、世紀のスクープを連発してる理由が分かったよ」

「まあな、今晩一杯いくか」「え、どっちと?」
SF
公開:22/10/24 09:12

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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