擬似恋人

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私は会社の先輩の実家に一緒に行くことになった。先輩の家は旧家で、親が決めた婚約者と結婚しろとうるさいと言う。そこで私が恋人のフリをして、親を諦めさせようというわけだ。
その作戦は上手くいき、先輩の親も渋々ながら納得してくれたようだった。
私はその帰り道、秘かに期待していた。恋人のフリをしてくれと私にお願いしてきたが、本当の恋人になってくれと告白してくれるのではないか。私もその先輩に気が有ったので、そう言われたら了承するつもりでいた。
しかしそんな言葉は何もなく、ただ礼を言われただけで別れた。その先輩はしばらくした後、私よりも綺麗な頭のよさそうな人と結婚した。
私はいつも利用されてばかりのようだ。私のような冴えない女は、結婚できたとしても冴えない男としか一緒になれなくて利用されてしまう結婚生活になるのだろう。
わがままな母親にも利用され、会社の人たちにも利用され続けるのだろう。鳥肌が立った。
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公開:22/10/23 23:06

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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