賞味期限

今日は大事なボクシングの試合。試合前、サンドバッグ相手に最終調整を行う。
体の調子は悪くない。パンチのスピードも動きのキレも問題ない。
体重チェックもクリア。今日はいつになく勝ちを確信する。

だが俺の体はリングに沈んだ。
たった一発。試合開始早々、対戦相手から食らったボディブローで起き上がれなくなった。
一体何が起こった？あまりのダメージに混乱する。痛みに膝が笑い、立ち上がれないでいる。
俺は負けてしまうのか…
諦めかけたその時、対戦相手が反則の判定を受けた。キレのいいボディブローは賞味期限が切れていると疑われる。
俺を診断する医者は「食中毒で間違いありません」と大声で告げた。
この試合、相手の反則負けによって俺が勝利した。これで８度目だ…
対戦相手は「たった１日、パンチの賞味期限が切れていただけなのに…」と落ち込む。
俺も落ち込む。明日のスポーツ紙の見出しを考えると胃も痛くなってくる…