トランペットの音が鳴る

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吹奏楽部に入り、トランペットを担当する事になった。私は楽器をするのは初めてだ。毎日毎日、練習するが、トランペットの音が鳴る事はなかった。先輩達は何の苦労もなく鳴らせているというのに、私だけどうして鳴らす事ができないのだろう。何度も何度も練習する。口の周りが痛くなってきた。焦りと悔しさで泣きそうになっていた時、彼女が私に手を差し伸べてくれたんだ。
「たくさん息を吸ってくちびるを軽くとじて、そのまま息を出すの。誰でも最初は苦労するんだよ。頑張ろう」
同じトランペット担当の彼女は、私につきっきりで教えてくれた。そんな彼女がある日、交通事故であっけなくこの世を去った。彼女に最後まで私の音色を聞かせてあげる事ができなかった。それだけが心残りだ。私は死に物狂いで練習した。そしてついに音が鳴った。それから曲を練習して弾けるようになった。学校の屋上で一人、空に向かって演奏した。彼女に音色が届きますように。
公開:22/10/21 09:12

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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