うどんは許さない

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「うどん」
 おまえのその一言に俺は微かな怒りを覚えた。

 おまえがうどんが好きなのは知っている。
 おまえの飼っているモルモットも知っている。
 おまえの家族揃ってうどん派だから、外食ではうどん屋にしか入らないのは知っているし、常備食はインスタントうどんなのも知っている。
 前に「そばもいいぞ」と勧めても、「野蛮人の糞尿」と罵り、「カレーライス美味そう」とほのめかすと「ガンジスの汚点」と蔑み、頑なにうどんしか食べない。カレーうどんは食べるくせに。
 うどん以外認めないのは百歩譲って認めよう。
 でもほかにもあるだろう。食べ物で絞るなら、せめて『うなぎ』や『うずら』があるだろう。だから始まって数秒で『う』が出たときに、コンマ1秒で『うどん』は馬鹿げてる。
 だから、おまえと次に合うときは、ニンテンドースイッチ持ってこようと思い、一言言った。

「『ん』が付いたからおまえの負け」
その他
公開:22/10/22 10:00
更新:22/10/22 10:08
うどん

好太郎

主に小説投稿サイト「即興小説トレーニング」にて執筆した自作品を、推敲したものを投稿します。
他小説サイト「小説家になろう」でも同様なことをやっています。

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