賞味期限

腹を空かせた子ども達に賞味期限の切れた缶詰を出した。
「賞味期限が切れたものなんて食べたくない！こんなのマズいに決まっている！絶対にお腹壊す！」
酷い言われようだ。
だが賞味期限とはあくまでも美味しく食べられる目安の一つ。過ぎたからと言ってすぐに味が落ちたり傷んだり食べられなくなるわけじゃない。
保存食の缶詰なんて、缶が腐食してなければ１年過ぎようとも美味しく食べれると言われている。むしろ、腐食した缶詰の熟成された賞味期限切れの味を楽しむマニアだっている。
私の説明に興味を持った子ども達。恐る恐るではあるが賞味期限の切れた缶詰を口にする。
「美味しい！もっと食べたい！他にもないの？」
さっきとは正反対の嬉しい反応だ。
その様子を腐食した缶詰の隙間から嬉しそうに覗くもったいないおばけ。
私はそれを摘まむと口に入れ咀嚼する。ウマい！
やっぱり缶詰はもったいないおばけが取り憑いているものに限る。