賞味期限

会社で残業をしてると近くでキッチンカーが止まった。
丁度いい。何か食ってこよう。
看板には家庭料理と書かれてある。
メニューを見ると豚の生姜焼きがあったので力をつける為に…と、思ったが俺は家で豚の生姜焼きを食った事がない。
ウチ、貧乏だったからなぁ…となると家庭料理の定番・カレーだな。
カレーは家によって味が違う。元カノ達のカレーは皆、味が違っていてそれが楽しかった。ここの味はどんなものかな？
出てきたカレーは水分が多いのか、シャバシャバで正直美味しいものではなかった。
でも俺はこの味に懐かしさを覚える。母のカレーはこんなだった。
もう何年も実家に帰っていない俺は母の料理が恋しくなると同時に、母の手料理をあと何回味わえるだろう…と思ってしまう。母に作ってもらえる賞味期限はいつまでだろう？
走り去っていくキッチンカー。そのナンバーは母の誕生日と同じだった。
今度の休み、久しぶりに帰省するか。