タイムフリー冷蔵庫

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タイムフリー冷蔵庫の登場で、食生活は劇的に便利になった。
冷蔵庫に搭載された時空AIが食材の性質と滞在時間を計測、それぞれに応じて温度や湿度、食べ頃を調整、最適の状態で出現させてくれる。
鮮度保持はもちろん、果物や発酵食品の熟成、果ては傷んだ食材の再生までできてしまうため、賞味期限の概念がほとんど意味をなさなくなった。
本来なら捨てられる期限切れの食品も、傷や病害などで出荷できない農畜産物も、タイムフリーで生鮮品に早変わり。生産者も販売店も競ってタイムフリー冷蔵庫を導入、店頭には高品質な食材が年間通じて並び、代わりに季節感や旬はますます遠のいた。

ノーベル賞の授賞式。タイムフリー冷蔵庫の正体を開発者が明かした時、受賞会場は冷凍庫の様に凍りついた。
ワームホールで冷蔵庫に繋がれた先は、飽食全盛期のある国だった。
処分場を埋め尽くす廃棄食品の山から、選別AIが冷蔵庫に送る食材を吟味していた。
SF
公開:22/10/17 13:16
月の音色 月の文学館 テーマ:賞味期限

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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☆SSGと皆様のお陰で生まれた本たち
短編集『ショートショート・アソート』Ver.0~5
選集『花神の庭』
詩集『君に伝えたかったんだ。』

ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.10参加中

第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版

いつも本当に、ありがとうございます!

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