「 / / 」

12
3

SDGs達成のための思い切った施策とやらで、食品の賞味期限表示が撤廃された。
厳密に期限を区切るからロスが出る。ならば企業と消費者に基準を委ねてしまおうというわけだ。

撤廃当初は反対意見が多数を占めたが、お蔭で生産者も販売店も在庫管理が楽になり、期限切れによる廃棄やそれに伴うコストが削減。売りたい商品が定価で、かつ以前より安く売れるようになった。
食べ時を状態で判断するため、仕入れ側も消費者も自然と見る目が肥え、店頭に並ぶ商品の質が向上した。
賞味期限を延ばす食品添加物は除かれ、偽装表示などの問題も減って安全性も高まった。
期限に追われず、欲しい物を必要なだけ作り、求めるミニマムな消費社会が到来、日本の景気は好転した。


自分で期限を書き込めるよう、賞味期限欄は空白のまま残された。
現在そのスペースは小さな伝言板となり、企業や消費者相互のコミュニケーションツールとして活用されている。
その他
公開:22/10/17 13:14
月の音色 月の文学館 テーマ:賞味期限

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO

ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容