響いた銃声

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 今日は娘が通う小学校の運動会だ。教師が鳴らすスターターピストルの音を聞く。
 30年前の運動会の日、両親は死んだ。
 昼休みに入ったときだった。突然、男の奇声が聞こえてきた。
 保護者たちはその場でお弁当箱を広げ、俺たちは教室へ向かおうとしていた。
 振り返ると、逃げまどう人と追いかける人が交錯していた。発狂した男を捕まえるのは難しいようだ。男が手に持った銃を見せびらかす。俺は両親の元へ走った。
 2人のそばへ着いたとき、わめく男がよろめきながらこちらへ来て、俺に飛びかかってきた。小学6年生にしては小柄だった俺は必死に格闘する。銃があるせいで誰も助けに来られないらしい。
 銃声が二発連続で響いた。
 その音に驚いた男が力を抜いたおかげで、俺は解放された。しかし、そばでは両親が血を流して倒れていた。
 よし、うまくやれた。
 こいつらが生きていれば、中学に上がる前に俺の命はなかったはずだ。
ミステリー・推理
公開:22/10/20 17:00
更新:22/10/17 12:54

志雨

2021年3月に小説を初めて完成させました。いろいろなジャンルのショートショートを書いていきたいと思います。
 

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