蓄伝池

「蓄伝池」は言語化できない想いを蓄えて相手に渡すとその想いが伝わる機器だ。難病を患った母親が我が子に想いを託したり、夫が妻への不満の想いを込めたり、使い方は色々だ。先日は推しのアイドルに渡すと、そのアイドルから「蓄伝池」が戻ってくるキャンペーンが行われた。しかし本音が紛れる騒動が起き、使い方は試行錯誤している。

さっちゃんはじいじにおねだりして「蓄伝池」を買って貰った。
「蓄伝池は使ったのかい？」
「うん。リカちゃんにわたしたんだ」
「そうかい」
「おもちゃをこわしちゃったから、あやまろうと思って」
「仲直りできたかい」
「まだおこってる…」
「きっと大事なおもちゃだったんだね。直接謝ったらどうだい」
「うまくいえなくて、ゆるしてくれないよ…」
「そうだろうな」
「えっ！」
「そう簡単には許してくれないよ。だから許してもらえるまで謝ってみるしかないな」
「うん。ごめんねって伝えてみる」