賞味期限

「賞味期限のレッテルを今日１日交換してくれないか？」
私に頼み込む先輩のレッテルを確認する。うわっ…結構過ぎているな…かなり更新していない…
それに対し私は昨日更新したばかり。賞味期限はまだまだ先である。
「今日、監査が来るらしくてさ…頼むよ」
ため息を吐き、仕方なく交換する。

賞味期限の切れたレッテルを貼って仕事をしていると上司が私に仕事を押し付けようとしてきた。
「ん？君、賞味期限が切れているじゃないか…食えない奴に仕事まわしたら後で胃が痛い思いしそうだしな…」
いつもは私を食い物にする上司がすごすごと去って行った。へぇ…賞味期限って切れていていい事もあるんだ…

「俺は逆に上層部に食い物にされたぞ。狙い通りだ」
先輩は笑ってそう言った。
賞味期限の切れている先輩は会社の獅子身中の虫となるチャンスをずっと探っていたようだ。
レッテルに騙された上層部はすぐに痛い目を見る事になるだろう。