400字で何とか回収する男
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カルテには「記憶障害」と書かれていた。そして患者名は「木本」でなく「本木」だった。僕は他人の女性をお見舞いしていたようだ。マスクで口と鼻が覆われ、特徴的なクリっとした目を見て勘違いしてしまった。僕は売店でお菓子を買い、先程入った病室の隣の病室に入った。
「調子はどう?」
「ぼちぼちね」
従姉は自慢の長い黒髪を束ねて左肩から前に垂らしていた。
「ポッキーとプリッツを買ってきたんだ。どっちがいい?」
「知ってるでしょ。甘いの苦手なの」
そう言うとプリッツに手を伸ばした。
「また会ったね。さっきはカルテを拾ってくれてありがとう」
「先生、どういたしまして。そう言えばそのペン、あまり見かけませんね」
「限定品なんだ」
「そうでしたか。あれ、肩にセミの抜け殻がついてますよ」
「また悪戯か。知ってるかい?セミは地中の幼虫から羽化して、地上の成虫になるから抜け殻は『再生と復活の象徴』とされているんだよ」
「調子はどう?」
「ぼちぼちね」
従姉は自慢の長い黒髪を束ねて左肩から前に垂らしていた。
「ポッキーとプリッツを買ってきたんだ。どっちがいい?」
「知ってるでしょ。甘いの苦手なの」
そう言うとプリッツに手を伸ばした。
「また会ったね。さっきはカルテを拾ってくれてありがとう」
「先生、どういたしまして。そう言えばそのペン、あまり見かけませんね」
「限定品なんだ」
「そうでしたか。あれ、肩にセミの抜け殻がついてますよ」
「また悪戯か。知ってるかい?セミは地中の幼虫から羽化して、地上の成虫になるから抜け殻は『再生と復活の象徴』とされているんだよ」
その他
公開:22/10/14 23:00
面白そうなので参加してみました。
(サーバーに問題が発生したらしく、別のアカントで新規登録しました)
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