本気になる前日

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「あんたが作る作品おもんないね」
彼女は薄ら笑いを浮かべ僕に言った。彼女は僕の一個上の先輩で、僕がスマホで小説を書いていると聞きそれを読んだらしい。
「どこが面白くないって言うんですか」
僕はムッとして聞き返す。
「えっとねーまず話がありきたりでしょ。登場人物も理想が出すぎててキモいし、なんか内容も分かりづらくて、文章も下手くそ」
クソ、意外としっかり読んでるな。
僕は言い返せなく、言葉の羅列に飲まれるしかなかった。
「さぞ先輩は面白い小説が書けるんでしょうね!」
僕はムキになって言う。
「は?そういう逃げ方本当にキモいよ。まず言われたことを反芻して自分の作品を見直せないの?まぁいいけど。はいこれ」
彼女は一冊の本を僕に手渡した。本にはよく見る出版社の名前と彼女の名前が記載されていた。
「この前出版したやつ。これで4作目かな。これ読んで勉強しな」
夜、僕は枕を濡らしながらそれを読んだ。
青春
公開:22/10/14 00:03
更新:22/10/14 07:12

リマウチ

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