あの世

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K.Yという男は子どもの頃から信心深い男だった。両親の影響もあって、信者の集いに熱心に参加していた。
教義もほとんど厳格に守っていた。性欲を満たす活動は一切行わず、奉仕活動に積極的に参加をしていた。
彼は身体を悪くして、病院に入院した。適切な治療を受ければ助かったのだが、宗教上の理由で拒んだ治療もあった。そのせいか彼は中年と呼ばれる年代で亡くなってしまった。

彼は眩い光に包まれた。神に抱きしめられた。彼の家族や友人たちも出迎えてくれた。
神を信じて時には辛かった逆境にも耐えることができた。本当によかったと思った。
しかしそれは脳が見せた幻覚で、彼はすぐに闇に包まれた。一瞬の褒美だった。

ある天才数学者はあの世が無いと信じて悪業を積んで、もしあった場合地獄に落ちる、あると信じてあった場合は、善行を積めば天国が待っていると口説いたが、そんな単純な問題ではないのかもしれない。
その他
公開:22/10/16 20:25
更新:22/10/16 22:12

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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