異世界転生

10
2

「安いよ~!異世界転生だよ~!」
「やぁ、そこの兄ちゃん。お1つ異世界転生どうだい?」
あぁ、もうそんな時期か。私の目の前では怪しげなおじさんが折り畳み椅子に座り、パンフレットを持ち街行く人に声をかけていた。
別に珍しいことじゃない。毎年5月位に同じような出店が現れる。きっと五月病で鬱気味なやつを狙っているのだろう。悪どい商売人め。
私は無視をしてそそくさと商人の前を通り過ぎる。
現在、異世界転生は現実の物になっていた。漫画のように死ななければならないものの、実際に行けるらしかった。
商人はそれなりのお金を貰い死の準備をして、あとはコッソリ生命保険かけてガッポガッポって話だ。
あんな死神にお金やるんだったら旅行にでもお金落とした方がマシだ。
「憧れは利用しやすいか」
今年もまた若者が死んでいくのだろうな。おじさんの顔を思い出す。それはとてもおぞましい程の邪悪であった。
ファンタジー
公開:22/10/16 10:17

リマウチ

超ショートショート書いていきます

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容