アイツ
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今夜は馴染みの居酒屋でアイツと待ち合わせ。
席に着くと「ご来店有難うございます! お飲み物はいかがなさいますか?」と元気な声。
笑顔の可愛い、感じのいい女性の店員さんだ。やっぱり、ここはいい店だな。
ビールを頼んでしばらく待つとアイツが来た。
アイツは自分の注文を済ませると切り出した。
「俺、結婚するんです」
危うくジョッキを落としそうになったが、何とか堪えた。
「そう、良かったね」
乾杯、とグラスを上げてグイっと一口飲む。悟られないように。
「で、どんな人なの」
相手が変な女だったら、私……。
「バイトの同僚です」
「え、バイトって」
「彼女です」
アイツは私の頭越しに向こうを見る。
振り向くと、笑顔の可愛い女の子が手を振っていた。
「よし、今夜はお祝いだ。とことん付き合え」
「マジですか。先輩手強いからなあ」
そう言って笑うアイツに、私は心からの祝福を送った。不思議と悲しくはなかった。
席に着くと「ご来店有難うございます! お飲み物はいかがなさいますか?」と元気な声。
笑顔の可愛い、感じのいい女性の店員さんだ。やっぱり、ここはいい店だな。
ビールを頼んでしばらく待つとアイツが来た。
アイツは自分の注文を済ませると切り出した。
「俺、結婚するんです」
危うくジョッキを落としそうになったが、何とか堪えた。
「そう、良かったね」
乾杯、とグラスを上げてグイっと一口飲む。悟られないように。
「で、どんな人なの」
相手が変な女だったら、私……。
「バイトの同僚です」
「え、バイトって」
「彼女です」
アイツは私の頭越しに向こうを見る。
振り向くと、笑顔の可愛い女の子が手を振っていた。
「よし、今夜はお祝いだ。とことん付き合え」
「マジですか。先輩手強いからなあ」
そう言って笑うアイツに、私は心からの祝福を送った。不思議と悲しくはなかった。
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公開:22/10/16 00:49
断続的にではありますが、趣味で細々とショートストーリーを書いています。
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