書く理由

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カヨコは文才のある文学少女だった。物語を書き友人たちに配っていた。友人たちは喜んで、その物語を読んだ。
カヨコはそれが嬉しくて、中学高校と進学しても同様のことを続けた。友人たちと同人誌を作り、それを売ったりした。SNSに投稿したりした。
雑誌にも投稿した。しかしなかなか書いた作品は選ばれなかった。それどころかSNSに載せた作品が酷評されると、とても心が傷ついた。
カヨコはこんなはずではなかったと思った。自分は周囲の人の笑顔が見たかっただけ、喜んでほしかっただけなのにと思った。

ふとカヨコは気づいた。それは偽善ではないのか。喜んでくれるのは、確かに嬉しい。しかしそれは自分の欲求が満たされたからではないのか。
そもそもの要求が承認要求ではないのか。
私の作品には確かにクセがある。友人たちもそれを面白がってくれたのだろう。
ある意味否定も勲章かもしれない。しかし投稿先は絞ろうと思った。
その他
公開:22/10/09 23:37

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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