コース料理

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1品目が出てきた。
少し深さのある皿の中央には赤・黄・緑の葉物野菜が渦を巻き花を咲かせている。皿の縁にはソースだろうか、光沢を持った濃紫が点で彩られていた。私は早速フォークを左手で持ち、葉物を突き刺し、軽くソースを付けて口に運ぶ。口の中ではシャキシャキと小気味良い音が響き渡っていた。美味しい。私は安堵した。この濃紫のソースも程よい酸味があり、これから出てくる他の料理の歓迎を促しているようであった。私は無音の中一人で味わう。喋りながらの食事とは違い、ひとつひとつの料理に全ての五感を集中させる。
気がついた時には皿から花は消え去っていた。
次の料理を待つ。ふと、視線の端に今日のコース料理のメニュー表が入った。
1.前菜:ルュピヌクのメンバゥ~ドャモピソュソースを添えて~
2.スープ:ヌッヌッゴョレァポの…
やはり食べた今でもあれがなんだったかわからない。
好奇心と恐怖の狭間で次の料理を待った。
その他
公開:22/10/12 20:35
更新:22/10/14 07:50

リマウチ

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