ビターチョコ

今日はバレンタインだ。私は彼の為に苦い苦いチョコを作る。彼は甘い物が大好きだ。そして良くモテる。だから私は、あえて苦い苦いチョコを作って他の女の子達との差別化を図っているのだ。
「はい、これ！どうせ甘いチョコはいっぱいもらうんでしょ？だから私からは苦いのあげる」
「甘いのが良かったな」
「それだと私のが目立たないじゃない」
「目立ちたいの？」
「う、うるさいわね」
「でもそんな君が僕は・・・」

そう。私は彼の一番なのだ。彼は私を選んでくれた。だからこそ、私は彼の中で特別でなければならない。だからこそのビターチョコなんだ。

「甘いのばかり食べてたら飽きるでしょ？たまには苦いのも食べたくなるでしょ」
「そうじゃないよ。これを食べた後、君とキスをすると苦い味だと思われるのが嫌なんだ」

きゅんとした。でも私はそれでもいいんだ。だって苦い味のキスの方が私らしい感じがするんだもん。