本読みの愚痴

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男は退屈そうにパラパラとページを捲る。文字ではなく文章を読んでいるようだった。
「これもつまらないな」
男は本を机に置く。
これで今月何冊目だろうか。全て同じような流れで辟易してしまう。
男は本を流れとして読んでいた。彼にとってはオーケストラを聞くことと本を読むことは同義だった。
「もっと変わったものはないのか」
皆内容を変えて誤魔化しているものの、流れはほとんど同じようなものばかりであった。それがその作者の持ち味だ。そういった考えもあるだろう。しかし、内容ばかり変えて変えてのものにどんな目新しさがあるだろうか。毎日色んな種類のケーキばかり出されても困ってしまう。私は色んなスイーツを楽しみたいのだ。
「新しい本でも読むか」
ただ、私は読書で生を感じている。だからケーキばかりでも食べないと死んでしまうのだ。
「この本の作者リマウチか。読むまでもない」
流石に腐ったケーキは食べないようだ。
SF
公開:22/10/08 07:36

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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