映像の出る栞

私は栞を本に挟んだ。この栞は本の今までのあらすじを、次回読むときに映像として立体的に浮かび上がらしてくれるのだ。
では最初から栞を挟んでおけば立体的に話を伝えてくれるのかといえばそうではなく、そこまで読んである程度理解していないと映像として出てくれないのである。
私は読解力に欠ける面もあるため、こうして具体的な映像として見れるのはありがたい。読み落としたり思い違いをしている箇所を実はこうだったと、指摘を受けたような気にさせられるからだ。

しかしある日、どう考えてもそんな男いなかったよなという男が映像に現れ女にちょっかいを出し始めた。読み返してもそんなシーンは無い。
メーカーから不良品回収の連絡があった。私が今使っている栞は不良品で、他の本のシーンと混ざってしまうこともある、無料で取り換えるので至急送ってくれとのことだった。
いやこれはこれで面白いじゃないかと、これからも使うことにした。