人を傷つけない男

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彼は究極に優しかった。人を傷つける事を極端に恐れたのだ。誰かを傷つけるくらいなら自分が傷ついた方がいい。そう思った彼は、誰かと会話する時には必ず言葉を選んで話すようにした。全ての意見を否定することなく、一度受け止める。間違っていると思った事は、相手を傷つけないように優しい言葉で。否定するのではなく、私はこう思ったというようにする。それが大人の考え方であり、彼の考え方なのだという事は理解した。しかし彼は究極に優しかった。彼は人を傷つけない男だ。そんな彼が選んだ方法。それは……

”もう人と話す事をやめる”

ということだ。全ての会話を聞き役に徹して相槌を打つだけ。そこから更にふみこんで、人と会話する事をやめるという決断をしたのだった。
「その結果、彼はどうなったの?」
「お地蔵様になったのさ。だからね、彼は有難い存在なんだ。名前を知る人ももういない。昔の人だからさ」
公開:22/10/07 12:15

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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