やさしい世界

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どんなに優しく造っても、こいつらは戦争を繰り返す。
食べ物をたくさん用意しても、住みやすい場所を与えても駄目だった。
僕は嫌になって、世界の端から端までを両手でかき集めて、ぎゅっと握った。
そのとき、お母さんがご飯ができたと僕のことを呼んだ。今日のご飯はハンバーグだって。
すぐにでもハンバーグを食べたかったけど、さっき潰した世界の残骸で、手がグチャグチャだった。
これじゃあお母さんに怒られちゃう。
世界の残骸は、掌に纏わりついて、なかなか離れない。
特に、赤くてドロドロした、あいつらの残骸は特別しつこかった。
SF
公開:22/10/09 19:29

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