ある女教師と母親の会話

「結構息子さんのような大人しい子は、点数が稼ぎやすいんですよ。告げ口もしないし、他の先生から出来の悪い子を親身になって面倒を見ていると高評価につながるし」
「そうですね。私も外面をよくしておけば、あのお母さんは優しくて甘やかすから息子がいい気になってるんだわと周りも好意的に解釈してくれますし」
「お母さんの無関心の逃げてばかりいる姿勢には助けられましたわ。まともなお母さんだったら、私をもっと攻撃してくるでしょうから私も危なかったわ」
「いえお互い様です。私も出来の悪い息子、頼りにならない夫に挟まれ頑張るいい母親を演じることができました」
「息子さんのような気色悪い、頭の悪い子によって私が悪い立場になるなんて冗談じゃないわよという感じですからね。私が何のために辛い勉強を重ね、点数稼ぎを繰り返してきたのか。あんなのに邪魔する資格はないわ」
「私たちって運命の出会いですね」
二人は微笑んだ。