大人しい霊

6
1

おれは妻を殺した。山に死体を埋めてきた。家に帰って来たら、妻の霊が座っていた。
しかし妻はおれに何を言うわけでもない。ただ黙って座っているだけだ。
普通の男なら反省して自首をするのかもしれないが、おれは腹が立ってきた。
妻は生きていた時から自己主張をほとんどせず、何を考えているのか分からない女だったが幽霊となってもそうなのか。そうやって悲劇のヒロインを気取るのも気に入らないんだよと、別な死体処理方法を考えた。
知人の男に仕事で巨大焼却炉を使う男がいるから、そいつに頼んで焼却炉を使わせてもらい妻の死体を焼いて処分することにした
その知人の男とは親しいので、多少の金を渡せば言うことを聞いてくれた。
おれは自分で言うのも何だがハンサムな方なので、妻が突然いなくなってしまってと言えばまた別の女が寄ってきた。
それ以来妻の霊は出ていない。大人しい奴は幽霊となっても大人しいのかもしれない。
その他
公開:22/10/08 23:14

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容