高額切手

賄賂というのは犯罪である。しかし中元や歳暮、飲食の奢りというのも拡大解釈すれば賄賂のようなものだから、ある程度公然として認めようとなった。
郵便物にも賄賂が認められた。高額切手を貼って郵送すれば、その切手の金を賄賂として受け取ることができるのである。賄賂という言い方も生々しいので、献上料とされた。

政治家や企業同士もやり易くなった。賄賂と認められれば捕まるが、法的に認められていれば何の問題も無い。高額切手は送る方のステータスシンボルになるし、もらう方も渡してくれた方を優遇すれば済む話だ。

高額切手を貼って文学賞に応募すれば、選んでもらえる確率も高くなった。審査員がその切手を、取り分としてもらえるからだ。
だが金は無くて文才があるという人は審査に落ちて、文才が無くても金はあるという人が選ばれるようになったため文学のレベルは落ちた。
しかしAIが文章を修正してくれるから何の問題も無かった。