風鈴、鳴る時に

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チリンチリンと風鈴の音が鳴り響く。そろそろ秋だというのに、うちにはまだ風鈴の音色が鳴り響いていた。そろそろ片付けなくてはならない。風鈴を手に取ると、今年の夏の思い出が蘇ってきた。
夏休みに入ってすぐの事。気分が上がり、夜の道を散歩した。田舎特有の田んぼ道、虫達の声が聞こえてくる。そこに虫以外の声が聞こえてきた。女の子の歌声だ。この辺りの子は皆友達だ。でもその子の声は聴いたことがなくて、不思議に思って僕は声のする方に吸い寄せられた。女の子の姿を見つけると、やはり見た事のない子だ。女の子は座って歌を歌い続けている。そして僕の気配を感じたのか、後ろを振り返る。それが彼女との出会い。彼女はいつもここで歌っていた。僕はそれを聞きに来るのが日課になった。いつからか彼女の事を好きになったのかもしれない。ところが夏休みも終わろうとした時、彼女がそっと僕にこの風鈴をくれた。また来年、会えるといいな。
公開:22/10/08 09:52

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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