新しい車いす

「社長、小さな子供さんが乗る車いすが可愛くないので新しいのを作ってほしいとの依頼が来ています。」
「もっともな話だな。小さい子供が車いすの生活なんてそもそもかわいそうだし。何かいい考えがあるのかね？」
「母親のような見た目で、座るとまるで抱っこされている感じのものはどうでしょう。名付けてママ抱っこ車いす。」
「いいねぇ。試作品ができたら病院に届けて試してもらおう。」

「どうだったね？ママ抱っこ車いすは？」
「子供たちに大評判でしたよ。でもそれ以上におじいちゃんたちが集まってきて、わしにも作ってくれと口々に言うんですよ。」
「男はいくつになってもマザコンだな。ま、作ってあげたらどうだ。」
「おばあちゃんたちも新しいものが欲しいそうです。」
「ん？パパ抱っこ車いす？」
「いえいえ、イケメンのマッチョのお兄さんがお姫様抱っこをしてくれているような車いすに、冥途の土産に一度は乗ってみたいと。」