生まれ変わっても

僕はそうめん。稲庭うどんの母さんと讃岐うどんの父さんの子供だ。兄ちゃんはひやむぎだ。兄ちゃんはたまに赤や青の服を着ておしゃれをしている。正直、うらやましい。僕もひやむぎに生まれておしゃれをしたかった。
僕は小さい頃から修行の毎日だった。細い管の中を上手に流れる修行、次々と出てくる箸を巧みにすり抜ける修行、少しだけ箸に引っ掛かる修行。来る日も来る日も修行だった。兄ちゃんはおしゃれして子供達に喜ばれているのに。今度生まれ変わったら絶対ひやむぎになるんだ。
修行の成果を出す日がやってきた。半円形に切られた竹の筒の両側に沢山の子供が待機している。筒の中を勢いよく流れる。水と一体になるのがコツだ。来た！箸だ！するりと抜ける。3回ほどすり抜けた後、旨く引っ掛かるように体をくねらせた。
僕を捕まえられた子供は満面の笑みだ。その笑顔を見た瞬間、僕も嬉しくなった。またそうめんに生まれてもいいかなって思った。