四季バトンタッチ

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夏がバトンタッチすべく中継点に走って来ますと、次期ランナーの秋がネキストサークルいません。どうしたんだろうとキョロキョロと辺りを見回すと、秋は呑気に野原に寝そべっています。
おおーい早くスタート地点に立たんかいと、大声で叱るとやっと起き上がりこっちにノコノコとやって来ます。
早く渡そうと彼にバトンを放り投げると、上手くキャッチ出来ずにポロリと地面に落としました。すると夏でもない秋でもない中途半端な変な天気になりました。
仕方ないから夏は秋の方に行き腕を回し、暫くは二人三脚で前に進む事にしました。
最初は中々歩調も合わず、ぎこちなくイチニ、イチニと掛け声を掛けながら走ります。
秋も徐々に調子が出てきて、やっと秋らしい雰囲気が醸し出されます。ただ油断すると又夏が復活し暑さが舞い戻ります。
だから秋は自分勝手ながら、ももうそろそろこの辺りで夏を突き放し、単独走行をしようかなと密かに思っています。
ファンタジー
公開:22/10/04 21:39

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