万病に効く薬

怪しい露天商から万病に効く薬というものを買った。案の定、俺の病気は良くならなかった。
それなのに露天商、俺の顔を見るや「ご病気、良くなったでしょう？」と笑いかけてくる。ふざけているのか？
怒る俺に首を傾げる露天商。何かにハッと気づき、頭を下げてきた。
「すみません。どうやらお客さんのご病気は１万１つめの病だったみたいです…この薬は万病に効きますが、登録されている１万の病気以外には効かないんですよ」
都合のいい事を言うな！嘘を吐くな！
「滅相もございません！私、この薬を服用して小さい頃から患っていた金欠病が治ったのでございます」
それはお前が詐欺を働いたからだろう！金欠病に効く薬なんてあるものか！俺の金欠病は治ってないぞ！
「お客さんはギャンブル依存症でしょ！それを直す為に金欠病も治すこの薬に賭けたんでしょ？お客さんは賭けに負けたんですよ！それにお客さん、臆病が治って賭け方が悪化してますよ」